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うたたね♪日記

元・絵本カフェ詩多音オーナーのブログです。 現在は、絵本をつなぐ活動の  心 色~ココカラ~ メンバーとして活躍中!!!

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絵本(おはなし)カフェ詩多音ママの会でした♪

今日は、絵本(おはなし)カフェ詩多音ママの会でした♪
今回は、ベビーちゃんの参加がなく1歳から5歳までのちびっ子ちゃんと楽しい時間を過ごしました。8月は7日(日)コンパルボール202号室で開催です。





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『MIMI』第28話・雲野詩子

MIMI  -ミミと美海と滝さんについて-

      第28話


「みぃみぃ~おやつない?」


と言ってキッチンに入って来たのは香穂さんだ。

今日は滝氏への『業務報告の日』で、朝食の時から来ていた。

業務報告自体は滝氏の書斎でするのだが、

いつも飲み物や食べ物を求めて、わざわざ母屋までやって来る。


毎月一回は必ず来ているのだが、

こうして母屋まで足を運ぶようになったのは、ここ半年くらいの事だ。

それまでは私に遠慮していたらしく、

書斎に来て、母屋に寄らずに帰って行っていたそうだ。

私は来ている事さえ知らなかった。


ある日

「ご挨拶が遅くなってごめんなさい。兄(滝氏)が、

 日曜日は町田さんは一応お休みの日だと言っていたので・・・

 どうかしらと思って・・・」


と、初対面の時に言っていたが、

気付いたらなんだか友人のように親しくなった今になって、

分かったのは、香穂さんはタダの人見知りだ。

そして末っ子だからか、甘えるのが上手い。よく愛実みたいだと思う。

香穂さんの方が私より年上なのだが。

とに、かく、今となっては朝ご飯に間に合うように来て、

夕食まで食べて帰って行く。

そして最近はもう、書斎にいる時間よりもこっちに居る時間の方が長い。

どころか、書斎に一瞬顔をだして、あとはずうっと母屋にいる時もある。

もちろん、来る前にメールが届く。


「今月は20日の日曜日に行くから、美海絶対に家に居てね」


と言った具合に。

毎回必ず日曜日なのは、滝氏の学校の休みが日曜日だからだ。

何の業務報告かというと、

滝氏のご両親の持っていたアパートの経営についてだそうだ。



香穂さんは結婚していて子どももいる。

女の子が二人。小学6年生と2年生。

フルネームは、丹羽香穂子さん。

旦那様は小さな不動産会社を経営している。

旦那様のお父様が開業し、二代目としてがんばっているそうな。

滝家のアパートはオーナーは滝氏らしいが、

管理、運営は香穂さんの旦那様、丹羽氏の不動産会社に任せている。
(全て香穂さんからの情報で詳しい事は分からない)

で、業務報告には、忙しい旦那様や数少ない従業員の代わりに、

香穂さんが一人でやって来るらしい。

香穂さんは元税理士で、

今は旦那様の会社で会計経理全般を担っているそうだ。

ちなみに、私はその会社の社員として働いている事になっている。

滝家の財産管理は香穂さんの仕事で、

私のお給料も香穂さんが私の銀行口座に振り込んでくれる。

なのでもちろん、通帳には丹羽不動産の名前が記帳される。

とはいえ、本当は一ヶ月に一回来る必要も無く、

メールや電話で済む事も多いようなのだが。

子どもも旦那様も置いて出かける(実家に寛ぎにくる)事が、

彼女にとって楽しみの一つのようで、

用が無くても月に一回必ずやって来る。



滝家の兄弟はとても仲が良い。

香穂さんはよく


「ウチは三姉妹だからバランスが良いの」と言う。


初めて聞いたときは驚いた。
(滝さん実は女?ま、まさか、お姉?イヤイヤ・・・)

けれど、なんとなく頷ける。

そのくらい仲が良いという事のようだ。

それに、滝氏は男々していないというか、男らしくな・・・

否、やわらかくてやさしい雰囲気だ。よしっ。


「美海~ねぇねぇ、漣ちゃんにもさぁ、何かおやつある?

 私持って行ってあげるよ」


香穂さんは滝氏の事を『漣ちゃん』と呼ぶ。


「今日はヨーグルトがありますよ。器に盛りますね。

 少し待っていて下さい」


「うん、待ってる」


ガラスの器にヨーグルトを、その上にブルーベリージャムをのせる。

2つ用意して、スプーンも2つ一緒にお盆にのせた。


「美海ぃ、美海の分は?」


「私は今から夕食の準備をしますから。

 おやつはお二人でどうぞ。

 香穂さんも食べて帰られるでしょう?」


「もちろん。じゃぁ仕方ないから漣ちゃんと二人で食べるね」


「あ、待って、お茶はいい?まだ向こうにありますか?」


「あるある大丈夫。ありがと、美海。あ、ねぇクッキーない?」


「ありますよ」


クッキーとヨーグルトを持って、香穂さんは楽しそうに書斎に行った。



香穂さんは、何か手伝おうとかいう気持ちは更々無い。

作ってもらう、やってもらうのが好きな人だ。

私としては人に指図したり頼んだりするのが不得手なので、

とても助かる。

「何か手伝おうか」なんて言われると、私は困る。

断るにも、どう断れば失礼が無いか悩むし、

手伝ってもらうのはありがたい事なんだけれど、

自分のペースが崩れるので・・・困る。



携帯が鳴った。愛美かなと思って出たら、滝氏だった。


「今から翔太君と愛実ちゃんが赤ちゃんを連れてくるみたい。

 今電話があってね。

 香穂も夕食を一緒に食べてから帰りたいって言ってるけど、

 大丈夫かな?大変なら、香穂は帰すけど」


えーやだー赤ちゃん抱っこしたいしー

と香穂さんの声が電話の奥から聞こえる。


「はぁ、となると五人とイチ赤ちゃんですね。

 賑やかな夕食になりますね」


「ごめんね、お願いできる?」


「大したものは作れませんが、おなじみの物をたくさん作りますね」


「ありがとう。よろしくね」


電話を切ってため息を一つ。

ふうー。

よりに寄ってなぜ今日やって来るのだ、我が妹よ。

来週でも良いじゃないか。

と後で言ってやろうと決めて、料理に取りかかった。




つづく。。。


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『MIMI』第27話・雲野詩子

MIMI   -ミミと美海と滝さんについて-


     第27話


「滝さんです。滝さん私の父の、町田洋海(まちだひろうみ)です」


「初めまして町田さん。滝漣太朗と申します。

 美海さんにはいつも大変お世話になっております」


と言って頭を下げ、彼は父に右手を差し出した。

政治家みたいだな。と思いながら笑わないように気を付ける。


「美海の父親の町田です。娘がお世話になってます」


THE 無表情。で父は滝氏と握手した。

間違いない。父は緊張している。


「じゃ、行こうか」


私に目配せをして父が促す。

父が水の入ったペットボトルを車から取り出す。

そこへ、それが、なんとも自然に滝氏が寄って行って、

まるでいつもの事のように父から二本のペットボトルを受け取る。

続いて、私が花を、父が残りのロウソクや雑巾などを持って

母、洋海(ひろみ)の元へ向かう。




海沿いの墓地は風が強い。

暖まり始めた初夏の潮風が私たちに吹く。

駐車場から、低めの防波堤に沿った小路を歩くと母のお墓に着く。

速やかに滝氏がお墓に水をかけ、父がそれを拭き上げ、

私が花をさす。

蝋燭は火を点けたが風ですぐに消えてしまった。

お墓の前に父が屈む。

それに習って私も滝氏も父の後ろに並んで屈む。

父が手を合わせ、私たちはやはりそれに習う。

遠くで、波の音。

その音と重なるように、梅雨の雨をすってぐんぐん育った雑草が、

風に踊らされて騒ぐ。

そうして潮のかおりをつれてくる。

波音、潮風、海の匂い。

懐郷の想いが胸に広がる。

母の墓前。

居場所の無かった幼い頃、

いつも私の心に在り支えとなった場所。

ここが、私の故郷である。

父が静かに頭を上げ立ち上がると


「美海、一本水を入れて来てくれ」


ちらりと滝氏の横で地面に置かれたペットボトルに目をやる。

滝氏と私が同時にペットボトルを見る。


「場所分かるだろ。境内の裏」


「え?水?」


聞き返すと


「良いから行って来い。頼んだぞ。満タンな」


と有無を言わせず送り出された。

お寺の境内の裏には井戸があり、

その横にステンレス製の簡単な洗い場がある。

もちろん井戸の水をひいている。

洗い場はしっかりと乾いていたので、

前に誰かが使ってから随分時間が経っている事がわかる。

蛇口を何回か捻って、20秒ほど流してからペットボトルの口を付ける。

井戸水は冷たくて気持ちよかった。



水を入れて戻ると、父が笑顔になっていた。

!!?

滝氏は、まぁ、いつもの笑顔なのだが。

私が居ない間に二人はどんな会話をしていたのか、気になる。

が、子どものように何話してたの?とも聞き辛い。

聞いた所で、話してくれる人達では無い。分かってる。

昔っからなのだが、このお寺の水道は井戸水だからか、

水圧が弱いため水をペットボトルに入れるのに結構時間がかかった

その間もずっと気になっていた。

父は戻って来た私を認めると


「おう、美海悪いな、花に水をやってくれ。いっぱいな」


「・・・うん」


もう、まったく緊張はしていないようだ。

滝漣太朗マジックとでも言うべきか。


「よし。どこか昼を食べに行こうか」


「そうですね」


私がまだ水をあげている途中なのに、二人は車に向かって歩き出す。

おいっ!こら、私を待ってよ。

と思ったが、口にはせず。

せめてもの抵抗に、できるだけゆっくりと時間をかけて水を入れた。


「お母さん、不思議な人でしょう?滝さんって。

 でもそれなりに良い人なんだよ。

 愛実も元気にしてる。今度子どもが産まれるよ。

 お父さんにとっては、初孫だね。

 最近ね、鏡を見る度に思うんだ。私お母さんにそっくりだなって。

 ・・・お母さん産んでくれてありがとう」


向かい風が私の髪を吹き上げる。

産んでくれて、ありがとう

母の墓前に立って、その言葉が私の口から出るのは初めてだ。

だって、今まではそんな事を思う余裕が無かった。

・・・じゃあ、今は?


「お母さん、私今幸せなのかな」


「美海!」


防波堤沿いの小路から、父が私を呼ぶ。

見ると、父と滝氏が並んでこっちを見ていた。

この時

この情景が、これからの私の人生の普遍的な景色と

成ってゆくだろうと思った。



つづく。。。

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『MIMI』第26話・雲野詩子

MIMI  -ミミと美海と滝さんについて-


     第26話


「だけど一番良かったのはね、その日の天気や、

 季節の移ろいによる空気の変化を感じられる事なんだよ」


一瞬?を頭の上に3つ浮かべて首を傾げたが、

すぐに電車通勤の話しか、と合点がいく。


「それはとても良い事ですね。

 あ、ここ右の車線に入っててください」


「もう曲がるの?」


「いえ、高速の入り口の手前で四車線になるので、

 右に入っていた方が良いと思います。

 昼でも交通量の多い道ですし」


「直前だと車線変更しにくいんだね」


「はい」


「そういえば、私も滝さんの所に来るまでは、

 季節を感じるってことあまり無かったです。

 家具屋だったので季節に応じた商品が入って来て、

 春だな、とか冬だなとかあるんですけど、

 滝邸では庭の木々や光の角度・・・

 なんていうか、四季を空気を通じて五感で感じられます。

 本当に良いところですよね。

 初めて裏庭の竹やぶで竹の子を掘った時なんて、

 なんていうか、うーん、楽しくて感動しました。

 あ、途中運転変わりますどこかで休憩しましょう」


「そうだね。どこかでお茶したいよね」


「そうしましょう」


「あの庭は父が造ったんだよ。母屋と書斎の間に桜と楓。

 塀を低くして金木犀を並べて、花の時期にあの香りがあたりに漂う。

 入り口に蠟梅もあるでしょう。あれもとても良い香りだよね。

 母はせっかくなら梅とか実のなる木が良いと言っていたけど」


「あ、それで裏庭には畑と竹やぶに、

 屋上にも元気なハーブ畑があるんですか?」


「屋上のハーブはかおるさんだよ。そして竹やぶは自生してたもの。

 裏庭に畑・・・がある事は今知った」


「・・・あぁ」


それで荒れ放題だったのか。納得。


「家はね、僕が幼い頃は木造の平屋だった。

 室内は畳張りで、襖に障子ガラス戸。雨戸に縁側。

 古い日本家屋の造りでね。

 春には縁側で花見、夏には竹で流しそうめんもしたな。

 冬には落ち葉を集めて焼き芋をしたり。

 仕事柄、書斎に籠るか旅に出るかがほとんどで、

 家で僕らの相手をする事はあまり無かったけどね」


「へー・・・かおるさんも言ってましたけど、

 本当にすばらしいご両親ですね。滝さんのご両親は。

 お会いする事ができないのが残念です」


「ありがとう。ぼくも、そう思う」


そういった滝氏の横顔が、嬉しそうに見えた。



高速を降りてすぐの所で休憩をして、運転を交代した。

途中できっと眠たくなるだろうと思っていたのだが、

なんだかんだと会話が続き眠たくなる暇はなかった。

運転を交代して一時間弱。宿泊するビジネスホテルに到着。

カウンターでチェックイン。


「お疲れ様。おやすみ美海さん」


「お疲れ様でした。おやすみなさい」


軽く挨拶を済ませ、向かい合わせの部屋にそれぞれ入って行った。




部屋で一人になると、つい明日の事を考えてしまい緊張する。

翔君と愛実の言っていた、

結婚報告だの初顔合わせだのが思い出されて一人で舞い上がる。

慌てて、ちがうちがうと頭を振る。

振りながら、だけどいつかそんな日が
(もう27歳なのでできれば近い未来に)

来ると良いなと願う。

もちろん相手は

今向かいの部屋で眠っているだろう人。


「いやーでもなー・・・」


などと意味の無い事を呟きながら、

気持ちをごまかしてみても、浮ついた心は静まらず。

その日はなかなか寝付けなかった。



つづく。。。

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【おはなし(絵本)カフェ詩多音 ママの会】 7/10(日)参加募集中です。

【おはなし(絵本)カフェ詩多音 ママの会】
7/10(日)参加募集中です。



はじめましての方も大歓迎です(^_-)-☆
広いお部屋で、ママ&プレママ&ちびっこと、のびのびと楽しい時間を過ごしませんか?

開催日:7月10日(日)
場所:コンパルホール 202号室
時間:10時~13時半
参加費:1500円
(お弁当・ドリンク込付)
※参加費は大人のみです。
子どもさんのドリンク&食事等はご持参下さい。

お申し込み・お問合せ
080-6452-8883(岡部)
utatane1026@gmail.com

締め切りは7日(水)です。
キャンセルは9日am10時までにご連絡をお願いします。(お弁当の予約がある為)


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