MIMI -ミミと美海と滝さんについて-
第37話
夕食を終えて、片付けも済ませてから滝氏の様子を見に行く。
サイドテーブルのポカリは少しだけれど減っている。
のど飴もひとつは食べたようだ。からがある。
よしよし、えらいえらい。
いつのまにか冷えピタが剥げている。
いや、自分で剥がしたのだろうか。
「滝さん、具合はどうですか?」
返事が無い。どうやら今は夢の中のようだ。
随分汗をかいている。
着替えとタオルを持って来て軽く汗を拭いた。
おでこに手を当てるとなかなか熱い。
まだ熱は下がってないようだ。
「上着きがえましょうか」
返事が無い。
とにかく着替えさせようとじっとりしている長袖を脱がせる。
父よりも体が大きいため(筋肉は父の方がある)少し手間取った。
父の場合、寝ていても服を脱がせ始めると
「わるいな」と言いながら起き上がって、
ゆっくりでも着替えに協力してくれる。のだが。
滝氏は、起きない。
わざと寝たフリしているのかと思ってしまう。
軽くタオルで拭いてから、滝氏の寝間着の釦を外しながら、
どうやって着せようか悩む。
脱がせる時は引っ張れば良いけれど(
引っ張られた服は傷むがやむおえない)
着せる時はそうはいかない。
うーーーん。
一度彼の上体を起こして、
下にささっと釦を外した寝間着を滑り込ませてまた倒す。
・・・よし、それでいこう。取りあえず。
「滝さんちょっと上体起こしますよー」
一応言ってみた。(大きめの声で)
なんだか、介護をしている気分だ。
れんたろおじいさーん。きこえますかー。
声に出したいのをぐっと堪えた。
んー・・・
といううめき声なのか返事なのか分からない音がきこえた。
片手でいけるかと思い彼の右肩あたりから背中にグイッと手を入れ
てみた。
背中もしっかり汗をかいている。
右手で持ち上げる。
意外に父より軽いかもしれない。
いや、私の腕力が凄いだけか?
イメージ通りに持ち上がって少しほっとした。
が、しかし、滝氏は体が硬めなので、
押さえておかないと後ろに戻って来てしまいそうだ。
出来ればもう少し前に倒れて欲しいのだが。
仕方ないので左の肘で彼の背中を押さえて、
右手で素早く寝間着を広げる。
それから彼の両の肩を両手で持ち直し、
ゆっくりと寝間着の上に戻し両腕を袖に通した。
手、長いな。あ、背中の汗を拭くの忘れた。まぁいっか。
寝間着の前を合わせて釦を留め始めると
んー?と僅かに聞こえたが、気にせず次の釦に手をかける。
これ夢かな
ぼそっと呟いている。ん?
ゆっくりと彼の腕が伸びて来て、私の腕を、肩を、掴む。
・・・ん?
「何か・・・」
言いかけて、彼の瞳に捕まった。
瞳、だけじゃない。思わず息を飲む。
とろけてしまいそうな彼の笑顔に爪の先まで硬直する。
これは、マズい。
胸が高鳴る。
彼の柔らかい手が私を引き寄せて
そのままぎゅっと彼の腕に縛られる。
「みみ」
耳元でかすれた声が名前を呼ぶ。
ん?みみ?まさか、ネコと間違えてるのか?
・・・
なんだ。一気に脈が下がる。
「滝さん、私はネコではありませんよ」
大きな声で言ってやりたかったが、
私の顔のすぐ横に彼の耳があったので、
仕方なく小さめに言った。
彼の腕から抜け出そうともがきながら、
風邪が移ったらどうしてくれるんだ。
などと心の中で悪態をつく。
ふふっとくすぐったそうな笑い声がする。
「笑い事ではありません」
さっきより大きめの声で言う。
彼の手の力がゆるんだ隙に離れようと、
両手を彼の胸に突いて起き上がった。
・・・ハズだったのに、なぜか、
滝氏が私の上にいる。
そして私はベッドにころがっている。
仰向けで。
???
~つづく~
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