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うたたね♪日記

元・絵本カフェ詩多音オーナーのブログです。 現在は、絵本をつなぐ活動の  心 色~ココカラ~ メンバーとして活躍中!!!

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5/20(水)

臨時休業させて頂きます。

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『MIMI』第8話・雲野詩子

MIMI  -ミミと美海と滝さんについて-


      第8話

いつの間にか翔君は滝氏の事を「レンさん」と呼んでいた。

それだけじゃない。二週に一度は滝邸に遊びに来るようになった。

ここ数ヶ月ちょっとの間にずいぶんと仲良くなったらしい。

先月来た時は夜中まで二人で飲んで(滝さんは途中からお茶を飲んでいたが)

結局泊まって行った。

困った事だ。

泊まったり家で飲んだりの事を言っているのでは無い。

翔君は滝氏に、私の学歴職歴、もしかすると恋愛歴まで話しているようなのだ。

酔っぱらいの翔君に注意しても、

翔君は基本、寝たら忘れるタイプなので毎回毎回


「でね、レンさん美海ちゃんはさ、ウチの愛実の面倒をね、

共働きで忙しい両親の代わりに見てた訳よ・・・」

とか言って語り出す。


「19の時の彼と別れてからは仕事に生きるようになって・・・」


なんて言い出したときは背中に冷や汗をかいて思わず翔君の口を塞いだ。

私の居ない所で飲んでいる時にどんな話をしているかが恐ろしい。

たとえ翔君が話した事をすっかり忘れてしまったとしても、

聞いている滝氏は酔い過ぎて記憶を失う事はまず無い。

困った事だ。まったく。

大体、翔君に出会ったのは私が22歳の時で、

十代の時の話はみんな愛実と日向からの受け売りだ。

なのになぜそんなに見て来たかのように話せるんだと、

腹を立てた所で酔った翔君には通じない。


「レンさんの部屋の模様替えするんだって?買い出し行くなら手伝うよ」


買い出しより模様替え自体を手伝って欲しい。と思ったが、

翔君の気持ちを優先して買い出しを手伝ってもらう事にした。


初冬

簡単なインテリアの滝氏の部屋は、私の目から見てとても寒々しく見えたので、

せめてラグだけでも替えたいと思い


「本格的に寒くなる前にもう少し暖かそうなお部屋に模様替えしませんか?」


と彼に提案した。


「美海さんはインテリアショプの腕の良いコーディネーターだったと聞いたよ」


翔君!余計な事を!・・・いつもいつも・・・


「うるさくならない程度なら何をしても構わないから、

 任せても良いかな?僕、インテリアってよくわからないんだ。

 どうしたいとかも無いし。

 今有る家具なんかはかおるさんが揃えてくれたんだ。

 えっ?色の希望?うーん・・・

 落ち着いた色かな?とりあえず居心地が良いと良いな」


「はぁ、そうですか(好きにさせてもらいます)」


と、予想通り快諾。

そんな話をした翌日に滝氏と翔君は会う約束だったため、

二人にとって格好の話題になったらしい。


「じゃぁ、日曜日にね」


買い出しの約束を取り付けて翔君は電話を切った。

腕が良いかどうかは別にして、経験は活かそうと思う。

それなりに。


当日。妹の愛実も付いて来た。


「どう?おねーちゃん滝さんとしんてんあった?」


愛実はいつもそればかりだ。もちろん


「何もないよ」


と答える。えーほんとにぃーと言いながらニヤニヤしている。

その様子があまりにもいつも通りだったので、

次の言葉の意味を理解するのに少し時間がかかった。


「今からぁ、半年以内におねーちゃんと滝さんができちゃった婚でもしてくれれば、

 うちの子とおねーちゃんの子が同級生になれるのに」


いやいや、でき婚ってちょっと・・・


「え?」


うちの子?


「愛実、・・・赤ちゃんいるの?」


そう言ってお腹を指差した。すると愛実は自分のお腹にそっと手のひらを乗せて、

嬉しそうに笑った。


「うん、もうすぐ三ヶ月」

「おめでとう!」

「うん、ありがとう。・・・やぁだぁ。おねーちゃんのそんな嬉しそうな顔久々見た。

 あはは!会いに来て良かった!」

「翔君もおめでとう」

「うん、ありがと美海ちゃん。二週間前にわかったんだ。

 最近愛実ずっと体調あんまり良く無くて、

 寒くなって来たから風邪かなとも思ったんだけど、

 そういう悪さじゃないって言って、そう言えば生理が止まってるかもって話になって、

 産婦人科に行ったら赤ちゃんがいるって・・・おれもう嬉しくて。

 こないだ電話したときもすげぇ言いたかったんだけど、

 愛実がどうしても会って言いたいっていうからすっごい我慢した。

 父親願望的なのそんな強く無かったから、できない事も全然気にしてなかったし、

 ずっと愛実と二人でも良いと思ってたんだけど、

 おれ、お父さんになるんだなって思ったら、もう嬉しくて・・・」


翔君泣きそうだ。こんな家具屋のカーテン売り場で・・・

もうちょっと場所を考えても良さそうなのに。

愛実が言うには、本当は買い物の後に滝邸に帰って、

一緒に食事をしている時に発表する予定だったらしいのだが、

早く言いたくてしょうがないのを二週間も我慢してたので、

もう待てなかったのだと。


「なぜ滝さん家で食事?」

「翔がそれが良いって。滝さんもOKしてくれたらしいし。

 久々におねーちゃんの手料理食べたい」


・・・滝さん、今朝会った時は何も言ってくれなかったのに。

口止めされてたのか、わざと言わなかったのか、

どちらにしても、なんとなく悔しい。

しかし、滝氏とできちゃった婚って・・・

愛実は想像力が豊かすぎる。(まぁその能力によって翔君との結婚に至ったんだろう)

できちゃうどころか、私は彼に触った事も無い。

結婚なんて私には想像ができない。

とりあえず、今の生活を守りたい。少しでも長く。


「あとは、何を買う?」


大きなカートの上にテーブルクロスと毛足の長いフワフワのライトブラウンのラグ。

その上にカーテンをぽんぽんと乗せながら翔君が尋ねる。


「あとはテレビ台とソファーにかける布。

 スゥェード調のダルトーンのピンクベージュにしたいんだよね」

「ふーん。おれはね肘掛け椅子を二つと、カウチソファーを一つ買う予定」

「え?翔君の所も模様替えすんの?」

「ちがうちがう、レンさんの部屋に置く用だよ。リビングに。

 だって、あの二人掛けのソファーだけだと、

 おれ達が遊びに行くとレンさん床に座る事になるだろ。

 大丈夫。レンさんOKしてくれたから。

 だからそれも美海ちゃん選んでよ」


えぇぇぇ・・・もう、滝さん、何でもOKしたらダメだよ!

今、書斎に居るだろう滝氏に念を送っておいた。

悪寒を感じている事を願う。

そんなわけで家具屋に行った翌日から数日間、

大幅に予定外な模様替えを余儀なくされた。


「手伝えなくてごめんね」


と滝氏は言っていたが、まったく申し訳無さそうな顔ではなく、

どちらかと言うと嬉しそうに見えたのは、私の被害妄想だろうか?

でも、まぁ、数日かけて試行錯誤の上仕上がった部屋を、

大変気に入ってくれたので良しとしよう。

お礼に、と小さな花束を買って来てくれた。


「翔君から、花が好きだと聞いたから」


だそう。

翔君、グッジョブ。(たまには)



つづく。。。

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『MIMI』第7話・雲野詩子

MIMI     - ミミと美海と滝さんについて-


     第7話

「妻って、元だけど。もう何年前になるだろう」


「・・・」


驚いた。心臓がギュッと握り締められたように息が詰まった。


「高校を卒業して大学が家から遠かったから、

 僕は一人暮らしをはじめてね、

 それから両親が亡くなるまで、ここには帰って来なかった。

 三十くらいの時に結婚して、

 今よりもずっと職場に近い所に住んでたんだけど、

 五年前に海外旅行に出たきり。

 両親は帰らぬ人となってしまって」


聞いてはいけない事を聞いてしまった気がして、

いたたまれない気持ちになった。


「それでここの管理や色々と後処理もあって、

 僕は一人でこの家に帰って来た」


「え、奥様は?」


「共働きだったから。

 彼女には家が落ち着くまで無理に来なくて良いと言ったんだよ。

 彼女の職場もここからは遠かったから。

 彼女がこちらに移って来たのは半年くらい経ってからだったと思う」


いろんな女の人がいるんだなぁと改めて思った。

私なら、いや私を含めて私の周囲にいる女の人なら(主に日向と愛実と母だが)

夫である人がそんな大変な時に仕事を優先して一人にさせるなんて、

考えにくかった。

わたしだったら、側にいたなら何か出来る事があるのでは無いだろうか、

と考えるだろうと思うからだ。

私が夫婦と言うものに理想を抱き過ぎてるにすぎないのか・・・


「彼女はここに来て、まず家具を全部換えたいと言って換えた。

 両親の使っていた家具は、ソファーや肘掛け椅子は三階の客室に今でも使っていて、

 後はもう残っていない。

 知り合いにあげたり、家政婦さんに手伝ってもらってリサイクルに出したり」


「それで、よかったんですか?」


間違った質問だったかもしれないが、

何となく私には滝氏の元妻の行動が腹立たしかった。


「当時の家政婦さんにも似たような事を聞かれたよ。

 かおるさんって言ってね、かわいいおばあちゃんで、

 今はお嬢さんの所で孫の面倒を見てる。

 時々手紙をくれるよ」


あぁ!白川かおるさんだ!と知人のように思い出したが、

本人を知ってる訳では無い。

一ヶ月に一通、滝氏に来る手紙。

毎回、和風のかわいい封筒に入っている。その送り主の名前を思い出したのだ。

すっきりとした綺麗な字を書く女性だ。


「かおるさんは良く思わなかったみたいだけど僕は仕方ないと思った。

 その時はその後出て行くなんて思ってなかったからね」


少し寂しそうに語る。


「・・・それで、離婚されたんですか?」


「うん、彼女はここに半年も居なかったよ。

 確か両親の一周忌の前にはもう居なかったね。

 他に良い人がいたんだ。

 僕らには子供もいなかったから迷う事も無かったみたいだね。

 離婚が成立して出て行く時に、

 自分で用意した家具は全部持って行ったよ。

 だから一時この部屋には何も無い時があって、

 ベッドさえ無くて、三階の客室を使ってたなぁ。そういえば」


「ああ・・・それで・・・」


間に合わせで用意された家具が、今のこの部屋なんだと納得した。


「つまんない男なんだろうな、僕は」


本当につまらなそうに言うものだから、笑いそうになった。


「そうかもしれませんね。だけど、

 どういう経緯でも、今の滝さんをつくるための出来事で、

 それによって今私がここに居て良いのなら、

 私はその全てに感謝します」


失礼かもしれないとは思った。

一見、他人の不幸を喜んでいるようにも聞こえる。

でも今家政婦として、滝氏と彼の住むこの家は私にとって、

やさしくて幸せな場所で、だから正直な気持ちを言った。

掃除をする時、食事をする時、ネコのミミと遊ぶ時、

彼の帰りを待つ時に退屈だとつぶやく時も幸せだと思っている。

実際、それが仕事だと判っていても、

高い給料を受け取るのが申し訳なく思い、減給を申し出た事がある。

半分にしていただいてかまいません、と。

(半分になっても前より貯金が出来る)

しかし滝氏は、いやいつも良くしてくれてるから、と私の申し出を断った。

その気持ちがなんとも嬉しかった。

もちろんいつまでもここに居られるとは思ってない。

その出て行かなくてはいけないいつか、のために貯金をしているし、

荷物も必要以上に増やさないようにしている。

滝氏は37歳でまだ男性としては若く、いつ彼女が出来て結婚するともわからない。

彼ならきっと家政婦を続けてくれて構わないと言うだろうが、

相手にとって家の中を他の女がうろちょろするのは気に障るだろうし、

私だって嫌だ。

地味に失恋したような気分になるに違いない。


「・・・」


じっ、と。私と目を合わせたまま滝氏は黙ってしまった。

読めない表情をしている。

やはり失礼だったかと思い謝った。


「すみません失礼な事を言いました・・・」


彼は笑った。とても、幸せそうに。

自分の心が、彼に落ちて行くのがわかった。


「ちがうよ美海さん、謝らないで。

 美海さんには勝てないなって、思ったんだ。

 いつも本当に僕に必要なものを与えてくれるよね」


心臓が、暴走している。止まれと言っても止まりそうに無い。

彼が笑顔で追い打ちを駈ける。


「ありがとう美海さん」


限界だ。

彼を抱きしめたくなる想いをぎゅっと押し殺して、慌てて立ち上がった。


「滝さん日付が変わっていますもう寝ないとおやすみなさい」


バタバタとあちこち電気を消して、滝氏をソファーに残したまま、

自分の部屋に逃げ帰った。

部屋に戻るとミミがいつも通り肘掛け椅子に丸まっている。

片目だけ開けてチラッとこっちを見た。

ミミの背中をひと撫でしてベッドに倒れ込む。

窓の外では紅葉した桜の木の葉が月の光に影をゆらす。

家政婦として彼の側に出来る限り居たい。

だから、これ以上彼への気持ちが育たないでいてほしい。なのに・・・


「ミミィー。助けてよ。滝さん反則技多すぎ」


ふわぁっと、ひとつ大きなあくびをして、ミミはそっぽを向いた。

そうか、無視か・・・

いやいや、まったく私は。

ネコに何を期待しているのやら・・・




つづく。。。
 

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お元気ですかぁ~

GWも終わりましたね~

でっ直ぐ週末。。。ですが~

今年の詩多音GWはこれまでで最高にヒマ暇なGWemoji

お天気にも恵まれ~

大分シティがオープンってのもあるのかな???

んな事ならがっつり休んじゃった方が良かったのかなぁ~

なんて、毎年思いながら6年目。。。

今年も同じ事を思ったGWでしたがっ

プライベートでは、色々あったGWemoji

1ヶ月振りに次男訓が帰って来ましたよemoji

2泊3日出の帰省と言っていたのですが

帰るはずの4日になって6日までおるわ~だって。。。

久し振りに会う友人と遊び倒したGWだったようです。

私なんて、ほんの数時間しか次男と過ごせませんでしたよっ

っま、親なんてこんなものですねemoji

手料理を食べさせる事は一度もなく

自宅には寝に帰るだけの帰省でした。。。


そんな中、私は

実母のお手伝いで、プチ親孝行したり~

↑めっちゃ疲れましたっ

その翌朝

娘と姪と母と私の女4人でのんびり朝風呂へ出かけ

温泉なんて滅多に行かないので、これまた最高で

炭酸水を持って露天風呂emojiめっちゃ爽快でした。


でっ、昨日は店休日

朝早くに幼馴染みからグループLINEが入り

「大分シティへ行きませんか~」

タイミングよく休みだったので、行ってみる事に!

突然の連絡にも関わらず

なんとグループ全員が集まれる事になって久し振りの集合ですemoji

K中卓球部女子

っで、お昼に大分シティへ向いました。

いやぁ~~~~~~

平日なのに、ここは大分ですか???

ってくらい賑わっていてびっくり!!!

もうプチ旅行に来た気分ですよ~

本当、大分じゃ無い所をウィンドウショッピングしている感じでemoji

博多にでもやって来た気分でした♪♪♪

楽しい時間はあっと言う間

5時には解散してそれぞれ自宅へ向いました。

人ごみが苦手な私は、帰宅後ものすごい頭痛に襲われ

そのまま休む事になってしまいましたが

なぁ~んか、大分駅の都会っぷりにたまがった一日でしたっ。

やっと、いつもの毎日が戻って来ますね。

元気に頑張って行きましょう~~~















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『丸パンの会』参加募集です♪

『丸パンの会』参加募集

私と一緒に丸パンを作りませんか?
5/12(火)10時〜
5/24(日)15時〜
5/26(火)10時〜

各2名様募集
ドリンク&おやつ付き♪
焼きあがった丸パン8個お持ち帰りです。
参加費、1人2000円
お問合せ・お申込みは、詩多音まで♪
08064528883岡部

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