MIMI -ミミと美海と滝さんについて-
第34話
銀杏の木葉が色づく頃に、滝氏が風邪を引いた。
珍しい。
彼がいつも起きて来る時間になっても部屋から出て来ないので、
どうしたものかと思っていた所、マスクをつけて、
ゴフゴフ言いながら部屋着のままふらふらとキッチンに登場して
「 僕、今日休むから美海さんもお休みしてね 」
とガラガラ声で言ってまたゴフゴフ言いながら
ふらふらと部屋に戻って行った。
昨夜、いつもより早く帰って来たときから、
体調は悪そうだったのだが、案の定、悪化したようだ。
しかも、部屋着で登場した所を見ると、
寝間着に着替える余裕も無かったようだ。
いつもは確か釦前開き襟付きの綿の寝間着のはずだ。
2、3日に1回私が洗濯しているんだから
間違いない。ベージュとグレー。交互に。
風邪をひくと、寝れば治ると思ってか、
一人にして欲しい(放って置いて大丈夫な)人と、
できればある程度の世話をして欲しい(世話が必要な)人とが
あるかと思うが・・・少し考えてみて、
彼はどちらかといえば世話が必要だろうと、
確信を持って思う。
が、一応かおるさんに電話して聞いてみる事にした。
「 まぁまぁまぁ!漣太朗さんが風邪を?久々ねぇ。
放っておいても死にはしないのだけど。
漣太朗さん、体調崩すと全然動かなくなるの。
それはもう貝みたいに。布団に挟まって。
全く滑稽なのよ。
そうね、少しでも動く様なら病院に連れて行ってあげて、
食べさせる、飲ませる、あ、熱があるなら、
水分だけじゃなくて一応お薬もね。
・・・くらいはしてあげないと、
ずっと、いつまでも寝たきりなの。
寝てれば治ると思ってるみたいだけど、
漣太朗さんは寝てるだけじゃダメなのよ。
体力無いじゃない?白くて細くて。
ちゃんと食べて水分補給して、頭を冷やして、
出すもの出して休めば、一日で治るような風邪で、
1週間近く寝続けたりするんですよ。
もし「放っといて」だとか言うなら、
お粥の一杯くらい自分で作って食べられるように
なってから言いなさい。と言ってあげると良いわ。
言わないと思うけれど 」
と、かおるさんからの許可がおりたので、
早速、滝氏の部屋へ向かう。
「熱は測りりましたか?」
「んーいや・・・」
寝ぼけたようなしゃべり方だ。やる気が全くない。
「ですよね。体温計引き出しに入ったままでしたから。
とりあえず熱測りましょうか」
言いながらベッドに近づいて行って、
滝氏の脇に体温計を挟もうとすると
「近づくと、移るよ?」
と滝氏。しかし、だからといって拒む気は無いようで、
腕を持ち上げられたりしてもされるがままである。
体に力が入らないのか、やる気の無い腕はなかなか重たい。
今度、耳で測れる体温計を買っておこうと決めた。
~つづく~
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