MIMI -ミミと美海と滝さんについて-
第31話
「良いんですか?家族水入らずなのに・・・」
「何言ってるの?家族水入らずだからでしょう。
話せないからって逃げ回ってると、
いつまでも語学は身に付かないわよ。
ほら、来なさい」
命令形だ。これは逃げられない。
「はい」
渋々、滝氏と一緒にテーブルについた。
「そういえば、ジャンとレイは紹介したかしら?」
「あ、いえ、言葉が分からなくて・・・」
「そうね。主人はジャン、小さいのは息子のレイよ。
レイ、ご挨拶は?」
「レイです」
「えっ息子さん?
(にしてはそこら辺の女の子より可愛いよ!)
ええっ、日本語?!
(話せないんだと思ってた)
話せるんですか?」
「ええ、平均的な日本の五歳児並には話せるわ。
だからジャンと二人で先に帰ってもらったのよ。
フライト時間が長くて疲れたっていうし。
だけど一言も話さなかったみたいね」
咲枝さんは隣に座るレイくんに視線をおくる。
レイくんは上目遣いで咲枝さんと見つめ合って、
首を傾げながら(何の話しか分からないという顔で)
食事に戻る。そして一言。
「おいしいよ」
はぐらかしているのか、聞いてないのか、
マイペースなだけなのか・・・
咲枝さんは右の眉をつんっと上げて
「本当にジャンそっくり」
「かわいいねレイ」
滝氏は楽しそうである。
「漣、あなたの子もきっとあなたそっくりになるわよ。」
「そうかな?だといいね」
「どうかしら?」
ジャンさんは日本語の会話に興味も示さず、
おいしそうに食事に従事している。
時々、レイくんに何か話しかけたりしながら、
終始にこやかである。
女王咲枝様を優しく包み込むジェントルマンなジャン。
それにかわいくて賢そうな息子のレイくん。
おしゃれな人達は家族のあり方も洒落ているのかしらと、
思ってしまう。
きっとフランスにある自宅もきっとおしゃれなんだろうな・・・
なんて思っていたら、咲枝さんから
「美海、今度うちに遊びにきなさいね」
とのお声がかかった。
フ、フランスにですかー?!日本語通じませんよー!!
お、恐ろしすぎる・・・
決して声には出していないのだが、顔に出ていたのか、
「漣と一緒によ。一人でとは言ってないわ。良いわね、漣」
咲枝さんはしっかりと滝氏に念を押した。
「そうだね。来年の夏休みが良いかな」
なんて滝氏は言っていたが・・・
本気だろうか?
つづく。。。
http://
[0回]
PR